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バルト三国の違いとは?ほぼ全部の世界遺産を巡って分かった、エストニア・ラトビア・リトアニアの言語・民族・物価

最終更新: 2026-10-19 / 文・写真: TheYutake(ゆーたけ)

バルト三国といえば、3つまとめて呼ばれる、何があるかよく分からない国々でした。ところが、クルシュー砂州を除くバルト三国の世界遺産をすべて巡ってみると、3か国は言葉も、民族も、歴史も、まるで違う国でした。今回の記事では、バルト三国の違いを、言語・民族・歴史・物価の順に、実体験とまじえて紹介していきたいと思います。

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バルト三国の言語の違いは?エストニア語だけが全く別の系統

バルト三国の言語は、エストニア語だけが系統の違う言語で、フィンランド語に近い言葉です。

エストニア語は、フィンランド語と同じフィン・ウゴル語派の言葉です[1]。

バルト三国の3か国のうち、この系統の言葉はエストニア語だけです。ラトビア語とリトアニア語はバルト語派の言葉で、エストニア語とは系統がまったく違います。

エストニア国立博物館では、ウラル語族の言葉を話す国は、エストニアのほかにフィンランドと、例外的にハンガリーがあると紹介されていました。展示を見ると、エストニアの人たちはロシア圏でもドイツ圏でもなく、南のラトビアとも違って、どちらかというとフィンランドに近いということが伝わってきました。

白黒の人物写真が壁一面に並ぶ、青く光る床の展示室
エストニア国立博物館の展示(タルトゥ)

博物館では、チケットのカードを展示にかざすと、説明の言語が切り替わります。人口が少なく、ロシア語、フィンランド語、ラトビア語、英語と、4つ以上の言語が必要になるからです。

リトアニアに入ると、ラトビア語とも全然違う独特な文字がありました。バルト三国とまとめて呼ばれていても、隣の国の言葉はそのまま読めません。

バルト三国の民族の違いは?ロシア系の多いラトビアと、ウクライナ支持の強いリトアニア

ロシアとの距離感は、3か国でかなり違うと感じました。

ラトビアのリガでは、人の雰囲気が北欧系ではなくロシア系かなという気がしました。あとで調べたら、人口の4分の1ぐらいがロシア系で、ロシア語をめぐってよく問題になるそうです。旧市街の外は建物が古く、エストニアと比べて、よりソ連時代の名残りがあると感じました。

リトアニアの首都ビリニュスに着いてまず感じたのは、ウクライナへの支持です。街中にウクライナの国旗がたくさんあり、バスの表示にもウクライナを支持する言葉がありました。バルト三国の中で、ロシアへの警戒が一番強い国だと思います。

運河の向こうに、かまぼこ型の大きな屋根が並ぶ市場の建物
リガ中央市場(リガ)

エストニアは、展示で見たとおり、フィンランドに近い国でした。

宗教にも違いがあります。エストニアは無宗教の人が58%で、ロシア正教が16%と続きます[1]。ラトビアはルター派、カトリック、ロシア正教が並んでいます[2]。

なぜバルト三国はこんなに違う?最後までキリスト教にならなかったリトアニア

エストニアとラトビアが早くから外の国に支配されたのに対して、リトアニアは最後まで独自の国として残りました。

リトアニアの宮殿博物館によると、リトアニアは15世紀ごろまでヨーロッパで相当力が強く、最後までキリスト教に改宗しなかった国だそうです。

エストニアやラトビアは、早くからドイツ騎士団に攻め込まれました。タリンの旧市街も、西から来た騎士団がつくった街で、玉ねぎ型の屋根の大聖堂は、東のロシアが建てたものです。どちらも、もとからこの土地にいた人たちが建てたものではありません。

暗い展示室に、照明で浮かび上がるガラスの展示ケースが並ぶ
ケルナヴェの考古学博物館

リトアニアは、リトアニア大公国として最後まで強く残り続けたので、リトアニア人としてのアイデンティティがすごく強い国です。街中でも、ほかのバルトの国では見なかった大公国時代の紋章を、旗や盾の形でよく見かけました。

その歴史は独自すぎて、日本で例えると、琉球王国の歴史を見ているようでした。日本人はもちろん、ヨーロッパの人でもあまり知らない歴史だと思います。

バルト三国の世界遺産はいくつ?ほぼ全部の世界遺産を巡った

バルト三国の世界遺産は、3か国で8件あります。

バルト三国の世界遺産は、エストニアが2件、ラトビアが3件、リトアニアが5件です。ただし、シュトルーヴェの測地弧は3か国すべてにまたがる1件なので、重ならないように数えると8件になります。

このうち、リトアニアとロシアにまたがるクルシュー砂州だけは、戦争の問題があるので行きませんでした[8]。

それ以外の7件は、すべて巡りました。

れんがの門柱に木の扉がついた、博物館の入口
祭りの準備で閉まっていたクルディーガの博物館

タリンとリガの旧市街は、どちらも赤い屋根が並ぶ中世の街です。ただ、タリンは城壁の中にコンパクトにまとまっていて、2、3時間あれば一周できる規模でした。リガは旧市街に加えて、運河と緑に囲まれた新しい市街と、アール・ヌーヴォーの地区まで広がっています。

ラトビアのクルディーガは2023年に登録されたばかりで、観光客は誰もいませんでした。

木々に囲まれた石垣のあいだを流れる小川
クルディーガの旧市街を流れる小川

リトアニアのケルナヴェは丘が4つか5つ連なる遺跡で、佐賀県の吉野ヶ里遺跡を思い出しました。

カウナスは、リガのアール・ヌーヴォーとは正反対の、飾りのないモダニズムの建物が世界遺産になっています。

並木と石畳の歩行者通りの先に、白い教会のドームが見える
カウナスの目抜き通り

シュトルーヴェの測地弧は、ノルウェーから黒海まで10か国にまたがる世界遺産で、34の観測点が登録されています[7]。

そのうち、エストニアのタルトゥの旧天文台と、リトアニアのビリニュス近くのパリエピウカイの観測点に行きました。パリエピウカイには、自転車を8時間借りて、片道2時間近く走ってたどり着きました。

バルト三国の物価はどのくらい?北のエストニアが一番高かった

実際に払った金額で比べると、物価は北のエストニアが一番高く、南のリトアニアが一番安く感じました。

EUの統計でも、物価水準はエストニアがEU平均とほぼ同じ101.2なのに対して、ラトビアは83.2、リトアニアは82.8です(2025年・EU平均=100)[9]。

実際に払った金額でも、同じ傾向がありました。マクドナルドで1回に払ったのは、エストニアのタルトゥで8ユーロ、ラトビアのリガで6.8ユーロ、リトアニアのビリニュスで6.15ユーロです。頼んだものは違いますが、南に行くほど安くなりました。

博物館の入場料も、エストニアのタルトゥでは旧天文台と国立博物館の2館で13ユーロ、リガのアール・ヌーヴォー博物館は5ユーロ、ビリニュスの宮殿博物館は6ユーロでした。

通貨はどこもユーロですが、導入した年は、エストニアが2011年、ラトビアが2014年、リトアニアが2015年と、少しずつずれています[10]。

エストニアラトビアリトアニア
物価水準(EU平均=100・2025年)101.283.282.8
マクドナルド1回(実際に払った額)8ユーロ6.8ユーロ6.15ユーロ
博物館の入場料(実際に払った額)13ユーロ(2館)5ユーロ6ユーロ
ユーロの導入2011年2014年2015年
英語力(EF EPI 2025・世界順位)31位16位33位

バルト三国と日本との比較

バルト三国を合わせても、人口は日本の20分の1ほどです。

バルト三国の人口は、エストニアが約137万人、ラトビアが約185万人、リトアニアが約289万人で、日本は約1億2,337万人です[11]。

3か国を合わせても約603万人で、日本の20分の1ほどです。

それぞれの国と日本とのつながりもあります。リトアニアのカウナスでは、杉原千畝が日本通過ビザ「命のビザ」を発給しました[3]。ラトビアのリーガは、1974年から神戸市の姉妹都市です[2]。

カウナスの杉原千畝記念館では、バルトで初めて日本人のツアー客に会いました。ヘルシンキから始まって、バルト三国をまとめて回るツアーだそうです。

日本からはひとまとめに見られがちなバルト三国ですが、実際に巡ってみると、まるで違う3つの国でした。

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バルト三国に関する、よくあるギモン

Q. バルト三国の治安は?
外務省の海外安全ホームページでは、エストニア・ラトビア・リトアニアのどの国にも、危険情報は出ていません[15]。
Q. バルト三国で英語は通じる?
英語力の国際ランキング(EF EPI)の2025年版では、ラトビアが16位、エストニアが31位、リトアニアが33位です[12][13][14]。
Q. バルト三国の通貨は?
3か国ともユーロです。エストニアは2011年、ラトビアは2014年、リトアニアは2015年にユーロを導入しています[10]。
Q. バルト三国はどの順番で回る?
私はフィンランドのヘルシンキからフェリーでエストニアのタリンに渡り、タルトゥ、ラトビアのリガ、リトアニアのビリニュス、カウナスと南へ下りました。ヘルシンキからタリンまではフェリーで4,000円ほど、タリンからタルトゥはバスで2時間ちょっと、タルトゥからリガはバスで4時間ほどでした。

この記事を書いた人

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ゆーたけ 世界遺産検定1級・中小企業診断士。世界72カ国以上、世界遺産180件以上を巡る。旅の記録をYouTubeでも発信中。

参考文献・出典

  1. [1] 外務省(2026)「エストニア共和国 基礎データ」外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/estonia/data.html
  2. [2] 外務省(2026)「ラトビア共和国 基礎データ」外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/latvia/data.html
  3. [3] 外務省(2026)「リトアニア共和国 基礎データ」外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/lithuania/data.html
  4. [4] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Estonia - Properties inscribed on the World Heritage List」UNESCO https://whc.unesco.org/en/statesparties/ee
  5. [5] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Latvia - Properties inscribed on the World Heritage List」UNESCO https://whc.unesco.org/en/statesparties/lv
  6. [6] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Lithuania - Properties inscribed on the World Heritage List」UNESCO https://whc.unesco.org/en/statesparties/lt
  7. [7] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Struve Geodetic Arc」UNESCO https://whc.unesco.org/en/list/1187/
  8. [8] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Curonian Spit」UNESCO https://whc.unesco.org/en/list/994/
  9. [9] Eurostat(2026)「Price level indices (tec00120)」Eurostat https://ec.europa.eu/eurostat/databrowser/view/tec00120/default/table
  10. [10] European Central Bank(2026)「Euro area 1999 - 2026」ECB https://www.ecb.europa.eu/euro/intro/html/index.en.html
  11. [11] World Bank(2025)「Population, total - Estonia, Latvia, Lithuania, Japan」World Bank Open Data https://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL?locations=EE-LV-LT-JP
  12. [12] EF Education First(2025)「EF English Proficiency Index - Latvia」ef.com https://www.ef.com/wwen/epi/regions/europe/latvia/
  13. [13] EF Education First(2025)「EF English Proficiency Index - Estonia」ef.com https://www.ef.com/wwen/epi/regions/europe/estonia/
  14. [14] EF Education First(2025)「EF English Proficiency Index - Lithuania」ef.com https://www.ef.com/wwen/epi/regions/europe/lithuania/
  15. [15] 外務省(2026)「海外安全ホームページ(エストニア・ラトビア・リトアニア)」外務省 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_186.html
  16. [16] TheYutake(2025)「【🇪🇪エストニア】IT先進国の首都タリン観光と第二の都市タルトゥの国立博物館 タリンの歴史地区【世界遺産ひとり旅】vlog」YouTube https://www.youtube.com/watch?v=ZO-VFBoYlJE
  17. [17] TheYutake(2025)「【🇱🇻ラトビア】何があるか全然分からない国の2つの世界遺産 首都リガと旧市街クルディーガ観光【世界遺産ひとり旅】vlog」YouTube https://www.youtube.com/watch?v=SJRrYnRFuHU
  18. [18] TheYutake(2025)「【🇱🇹リトアニア】バルト三国の世界遺産ぜんぶ行く 首都ビリニュス〜杉原千畝記念館カウナスまで【世界遺産ひとり旅】vlog」YouTube https://www.youtube.com/watch?v=FgFMBQqwqBc
  19. [19] TheYutake(2025)「【🇳🇴🇸🇪🇫🇮🇷🇺🇪🇪🇱🇻🇱🇹🇧🇾🇺🇦🇲🇩】世界一多くの国にまたがる文化遺産 シュトルーヴェの測地弧【世界遺産ひとり旅】vlog」YouTube https://www.youtube.com/watch?v=-960pLdt1yE