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エストニアはなぜIT先進国なのか?世界遺産の首都タリンと、第二の都市タルトゥの国立博物館を旅して考えた
最終更新: 2026-09-27 / 文・写真: TheYutake(ゆーたけ)
エストニアといえば、バルト三国のひとつということと、IT先進国というイメージしかありませんでした。ところが実際に行ってみると、首都タリンは中世の街並みがそのまま残る街で、国立博物館ではフィンランドとの意外な近さを知ることになりました。今回の記事では、エストニアがなぜIT先進国と呼ばれるのか、タリンに何があるのか、そしてエストニア料理などを、実体験とまじえて紹介していきたいと思います。
エストニアの基礎データ
| 首都 | タリン |
|---|---|
| 人口 | 約137万人(World Bank Open Data(SP.POP.TOTL)・2025) |
| 面積 | 約4.5万㎢(日本の約9分の1)(外務省「エストニア共和国 基礎データ」・2026) |
| 言語 | エストニア語 |
| 世界遺産 | タリン歴史地区(旧市街)/シュトルーヴェの測地弧(世界遺産一覧 yu-take.com・2026) |
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エストニアはなぜIT先進国?行政サービスがすべてオンラインの国
エストニアでは、行政サービスが100%オンラインで利用できます。
エストニアといえば、電子国家、IT先進国というイメージが強い国です。
エストニアでは、行政サービスが100%オンラインで利用できるようになっています[3]。外国人がオンラインでエストニアの電子居住者になれるe-Residencyも、世界で初めて2014年に始まりました[4]。
世界に名だたるIT企業にも、エストニア発のものがいくつもあります。2025年にサービスを終えたSkype、ヨーロッパ中で走っているライドシェアアプリのBolt、そして私が今も使っている、世界中どこでもカード1枚で使えるマルチカレンシー口座のWiseもエストニア発です。
人口は約137万人と小さな国です[2]。小さな国だからこそ、最新のテクノロジーを使ってあらゆるところを最適化してきた国なのだと思います。
タリンの観光案内所のガイドマップには、珍しく日本語版がありました。AIが訳したのかと思うようなきれいな日本語で、洗練された国だと感じました。
隣のラトビアでは、バスのチケットがネットで買えず、アプリをダウンロードしてようやく買えました。そこで、エストニアとの違いをはっきり感じました。
タリンには何がある?中世の街並みと、玉ねぎ型ドームの教会
タリンの旧市街は、ハンザ同盟の交易都市として栄えた中世の街並みが残る世界遺産です。
フィンランドから4,000円ほどのフェリーで渡り、港から歩いて15〜20分ほどで、タリンの旧市街に着きました。宿も旧市街の中です。
タリンの旧市街は、13〜16世紀にハンザ同盟の重要な拠点として栄えた、中世の北ヨーロッパの交易都市の姿がとてもよく残っている場所です[5]。
遠くからも見える高い尖塔のオレフ教会は、13世紀ごろに建てられた教会で、当時は世界一高い建物だったそうです。中心のラエコヤ広場の近くには、世界最古とされる薬局もありました。
丘の上には、玉ねぎ型のドームのアレクサンドル・ネフスキー大聖堂があります。中は撮影禁止でしたが、金ピカの豪華な装飾で、香のような匂いがして、それまで見てきたカトリックやプロテスタントの教会とは違う雰囲気でした。
玉ねぎ型のドームには、天へ昇るという願いと、雪が積もりにくいという実用的な意味があるそうです。
旧市街はとてもコンパクトで、2〜3時間あれば一周できる規模でした。展望台から見る赤いレンガの屋根と尖塔の街並みが、タリンのイメージそのものです。



エストニア料理は何を食べる?血のソーセージを食べてみた
エストニアを代表する伝統料理は、ブラッドソーセージ(血のソーセージ)です。
エストニアを代表する料理を探すと、出てくるのはブラッドソーセージ、血のソーセージでした。ほかにエストニアらしい料理はあまりなく、お店の数も多くありません。人口が130万人ほどの国なので、そういうものなのかもしれません。
血と聞くと鉄分のような味を想像していましたが、まったくそんなことはありませんでした。周りにかかったベリーのジャムと、上に乗ったガーリックがよく効いていて、肉のうまみがしっかりあります。
後味には、レバーのような風味が少し残ります。付け合わせのトマトやピクルスは酸っぱく、それを中和するような甘いベリーでバランスが取れていました。
見た目で身構えるかもしれませんが、全然いける味です。

エストニア語はどんな言葉?国立博物館で知ったフィンランドとの近さ
エストニア語は、フィンランド語と同じウラル語族の言葉です。
第2の都市タルトゥには、首都タリンからバスで2時間ちょっとで着きました。道中は本当に何もなく、一部の都市に人口が集まっていることがよく分かりました。
タルトゥのエストニア国立博物館は、チケットのカードを展示にかざすと、説明の言語が切り替わる仕組みでした。人口が少ないうえに、ロシア語、フィンランド語、ラトビア語、英語と、複数の言語が必要な国ならではの工夫です。
展示は、約1万1千年前の定住の跡から最近の科学技術まで幅広く、歩くごとに聞こえる音が変わる展示や、カセットテープの形の仕掛けを置くと映像が流れる展示もありました。出口は、マークを見つけた順に押すとドアが開く暗号になっていました。
エストニア語は、フィン・ウゴル語派の言葉です[1]。
展示によると、同じウラル語族の言葉を話す国は、フィンランドと、例外的にハンガリーくらいです。
展示を回ると、エストニアの民族はロシアでもドイツでもなく、南のラトビアとも違い、どちらかというとフィンランドに近いということがよく伝わってきました。バルト三国とひとくくりにしていたイメージが、ここで変わりました。




エストニアは宗教を信じない国?タルトゥの旧天文台で見た科学の国
エストニアは、ヨーロッパの中でも宗教への関心が特に薄い国だそうです。
国立博物館の展示によると、エストニアで宗教を信仰している人は4分の1ほどで、ヨーロッパの中でも宗教への関心が特に薄い国だそうです。
旧市街には、外国に支配されていた時代に建てられた教会がたくさんあるので、そういう印象はありませんでした。合理的に科学を信じるから、サイエンスに強い国なのかもしれません。
タルトゥには、もう1つの世界遺産「シュトルーヴェの測地弧」の中心になった旧天文台があります。地球の大きさを測るために、ノルウェーから黒海近くまで続けた三角測量の基準になった場所です[6]。
回転台の上に大きな望遠鏡があり、天文学の観測機器の展示がずらりと並んでいました。今はGPSで測れる時代ですが、その土台にある地道な観測の歴史を感じる場所でした。
エストニアと日本との比較
日本とエストニアの差は、カードの普及よりも、手続きがどこまでオンラインで済むかにありました。
日本のマイナンバーカードは、人口に対する保有率が82.7%まで広がっています(2026年4月末)[7]。
一方でエストニアは、行政サービスが100%オンラインで利用できます[3]。カードを持っていることと、手続きがすべてオンラインで済むことは、別の段階の話です。
しかもエストニアは、この仕組みをずっと早くから作り始めていました。行政のデータをつなぐ基盤X-Roadの運用は2001年に始まり[9]、デジタルIDカードは2002年に最初の174枚が交付されています[10]。2005年の地方選挙では、インターネット投票も導入されました[11]。
日本でマイナンバーカードの交付が始まったのは2016年1月です[12]。
エストニアのIDカードから数えると、14年ほど後のことになります。
エストニアの人口は約137万人で[2]、日本の1%ほどです。国全体をひとつの仕組みで最適化しやすい規模なのは、北欧の国々と同じでした。
日本とのつながりもあります。日本は1921年にエストニアの独立を正式に承認し、2021年には友好100周年を迎えました[1]。
エストニアを実際に旅してみると、フィンランドに近い、ITと科学の国でした。
エストニアを旅するゲーム
ここまで紹介したエストニアも、ゲーム形式で体験することができます。
エストニアに関する、よくあるギモン
- Q. エストニアの首都は?
- 首都はタリンです。フィンランドから4,000円ほどのフェリーで渡れて、港から旧市街までは歩いて15〜20分ほどでした。
- Q. エストニアはなぜIT先進国と言われる?
- 行政サービスが100%オンラインで利用でき、2014年には世界で初めてe-Residency(電子居住者の制度)を始めた国です。Skype、Bolt、Wiseなど、エストニア発のIT企業もいくつもあります。
- Q. エストニアの言葉は?
- 公用語はエストニア語で、フィンランド語と同じウラル語族の言葉です。国立博物館では、ロシア語やフィンランド語、英語など、カードをかざして説明の言語を切り替えられました。
- Q. タリンは何時間あれば回れる?
- 旧市街はとてもコンパクトで、2〜3時間あれば一周できる規模でした。博物館にも入るなら、1日見ておかなければ時間が足りなくなってしまいます。
参考文献・出典
- [1] 外務省(2026)「エストニア共和国 基礎データ」外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/estonia/data.html
- [2] World Bank(2025)「Population, total - Estonia」World Bank Open Data https://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL?locations=EE
- [3] e-Estonia(2025)「State Portal eesti.ee factsheet」e-estonia.com https://e-estonia.com/wp-content/uploads/factsheet_state_portal.pdf
- [4] Republic of Estonia(2026)「e-Residency」e-resident.gov.ee https://www.e-resident.gov.ee/
- [5] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Historic Centre (Old Town) of Tallinn」UNESCO https://whc.unesco.org/en/list/822/
- [6] UNESCO World Heritage Centre(2026)「Struve Geodetic Arc」UNESCO https://whc.unesco.org/en/list/1187/
- [7] 総務省(2026)「マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和8年4月末時点)」総務省 https://www.soumu.go.jp/main_content/001071539.pdf
- [8] TheYutake(2025)「【🇪🇪エストニア】IT先進国の首都タリン観光と第二の都市タルトゥの国立博物館 タリンの歴史地区【世界遺産ひとり旅】vlog」YouTube https://www.youtube.com/watch?v=ZO-VFBoYlJE
- [9] X-Road(2026)「X-Road History」x-road.global https://x-road.global/xroad-history
- [10] Information System Authority (RIA)(2022)「ID-card turned 20 years old」ria.ee https://www.ria.ee/en/news/id-card-turned-20-years-old
- [11] State Electoral Office of Estonia(2026)「Statistics about Internet voting in Estonia」valimised.ee https://www.valimised.ee/en/archive/statistics-about-internet-voting-estonia
- [12] 総務省(2026)「マイナンバーカード」総務省 https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html
